(厚労省) 老人ホーム入居者紹介に認定制度 優良事業者を公表 についてのコラム
9月7日付の新聞各紙で、厚生労働省が「有料老人ホームなどの入居者紹介事業者に認定制度を設ける方針」を固めたことが報じられました。
(厚労省) 老人ホーム入居者紹介に認定制度 優良事業者を公表 へ
背景には、一部の施設が紹介事業者に高額な手数料を支払い、入居者を誘導していた問題があります。紹介事業の実態や費用の仕組みが不透明なため、高齢者や家族が安心して住まいを選べるよう、優良事業者を認定・公表する仕組みをつくるとのことです。制度は2027年度にも始まる見込みです。
高齢者の住まい探しは、本人や家族にとって大きな決断です。介護が必要になったとき、どの施設が合っているのかを短い時間で判断するのは簡単ではありません。医療体制や介護の質、費用や立地、さらには雰囲気や相性まで考える必要があり、多くのご家族が戸惑いを感じています。
その不安を支える役割を担うのが、私たちのような「高齢者施設紹介事業者」です。相談者の希望を聞き取り、条件に合った施設を紹介する仕組みは便利ですが、近年は紹介料をめぐる課題が指摘されています。施設から紹介会社へ支払われる料金が不透明であったり、紹介料を多く支払う施設を優先的に勧めてしまう事例があるのです。信頼できるのか不安に思う声も少なくありません。そうした課題に対応するため、厚労省は「紹介事業者認証制度」を整えようとしています。安心して相談できる環境づくりとして、大きな期待が寄せられています。
「かごサポ」も、鹿児島県内の介護施設紹介の活動を行っています。ご家族だけでなく、医療機関や行政、地域のケアマネジャーからも日々相談をいただきます。大きな特徴は、相談者にも施設側にも紹介料をいただかないこと。さらに、社会福祉士の資格を持つ相談員が、相談対応から見学の同行、入居後のフォローまで一貫して支援しています。公平で安心できる存在であることを第一に考えています。
実際のご相談では、ご家族が迷われる場面に多く立ち会います。ある方は医療依存度の高い親御さんの施設を探していましたが、最初に紹介された施設は夜間の看護体制が十分ではなく、不安を抱えていらっしゃいました。私に相談が寄せられた後、医療連携のしっかりした施設をご案内した結果、ご本人もご家族も安心して入居を決められました。この経験からも、「紹介料の多さ」ではなく「その人に合っているかどうか」が何より大切だと実感しています。
すでに業界の中には、相談員が公平に対応できるようチェック体制を整えたり、誤情報で誘導しないことを徹底したりする会社も出てきています。認証制度が広がれば、こうした良い取り組みが標準となり、安心して相談できる環境が整うでしょう。
もちろん、制度ができればすべてが解決するわけではありません。違反事業者への対応や運用体制、利用者への周知など、課題はまだ残ります。それでも、国が明確にルールを示すことには大きな意味があります。利用者や家族が「ここなら信頼できる」と安心できる基盤が整うからです。
これからの高齢社会において、施設紹介は単なるビジネスではなく、暮らしを支える大切な役割を担います。かごサポは、利用者やご家族の声に寄り添いながら、公正で安心できる紹介の文化を鹿児島から広げていきたいと考えています。
